BLOG: Work in progress

2018年4月17日

肌寒い曇り空の下、やや緊張しつつ麻布のスタジオへ。
ポスターやフライヤーなどで、展覧会のメインビジュアルとなるポートレートの撮影です。
デザイナー原研哉さんの構想は当初から一貫していて、
これぞ五十嵐威暢、というポートレートが欲しい。
その為には、なんとしても上田義彦さんに撮影してもらいたい。

坂茂さん設計の上田さんの素敵なスタジオは二層分ほどありそうな天井高。
5m角以上ある大きな白い1枚布が仕切りになり、
見えない向こう側にカメラがセットされています。

では、そろそろはじめましょうか、と布の向こう側へ移動。
手前で待つ私は、たまに上田さんが五十嵐に語りかける短い言葉を耳にしつつ、
巨大なアンブレラにフラッシュが反射し布を通過することで、
きっと優しい光が拡散し五十嵐を包み込んでいるんだろうなと想像。
脇からチラリと覗くと、エイトバイテンのカメラを覗き込む上田さん。
魂のこもった撮影の緊張感がスタジオ中に伝わっていました。

途中ふと、優しい空気に変化し心地よく感じた時、
布の向こう側では、なんだかものすごくいい瞬間がやってきた模様。

ほんの少しの動きが、表情や姿や雰囲気までも変化させ、
あっ今だ、と興奮することがあるそうです。

今日は幸いなことに、そんな瞬間があったようで、
撮影してくださった上田さんも、デザイナーの原さんも、
五十嵐本人も私も、どんな写真になるのか楽しみで仕方がありません。

文・写真:羽田麻子