2018年7月10日
〈五十嵐先生ご夫妻をニッタクス十勝工場に迎えて〉
はじめまして。株式会社ニッタクス東京営業部の大山と淡路です。規格外の特大サイズの合板製造や特殊加工など、木材の新しい可能性に挑戦し続けて、もうすぐ100年になります。
会社として五十嵐先生の作品「動物イラストレーション」製作の協力をさせていただいており、ドキドキワクワクな毎日を過ごしています。
6月末、3日間に渡り、五十嵐先生ご夫妻に弊社十勝工場へお越しいただき、特注サイズの合板17枚のチェックと、塗装をしていただきました。塗装済みの合板は、埼玉県の熊沢印刷工芸株式会社に輸送され、先生の動物イラストレーションが特大シルクスクリーンで印刷され、完成する予定です。
今回の作業風景は、動画撮影を株式会社sprawlさん、写真撮影を辻博希さんに依頼し、貴重な歴史として記録していただいています。
写真:ニッタクス
初日、ご夫妻は札幌から十勝工場への遠路を3時間半掛けて移動。それだけでも疲れてしまうところ、到着後すぐに工場内作業場所を確認していただきました。
昼食は、北海道幕別名産のゴボウをたっぷり使用したゴボウ天蕎麦。アシスタントの羽田様から、先生は蕎麦が大好物と伺っていたためですが、ちょっと量が多すぎでした…
写真:ニッタクス
午後からは本格的に作業開始。
五十嵐先生ご夫妻が、合板1枚1枚に手作業で丁寧に絵の具を刷り込んでおられました。
従来から、五十嵐先生の「こもれび」シリーズには、弊社の3m×3m×厚さ4mmの大型合板を採用いただいておりましたが、今回の最大サイズは2.2m×2.2m×厚さ18mm。
かなりの厚みに加え合板の芯には硬くて重いアピトン材を使用したため、大判1枚の重さは60kgを超えます。
合板の取り扱いに慣れた我々スタッフが4人がかりでも、1枚をひっくり返すだけで大騒ぎ。
非常に体力と気力を使うのですが…、五十嵐先生の作品制作に対する真摯な姿勢に圧倒され、奮い立たせられました。
我々の作った工業製品である合板に、先生の魂が吹き込まれる。作品に生まれ変わっていく瞬間に立ち会えたことは、忘れられない体験になりました。
しかし、初日の作業も終わり際となると、さすがにお疲れの様子。
そんな中でも夕食は我々とご一緒していただき、過去の作品制作のことなど貴重なお話を伺うことができました。
翌日は初日に比べかなりスピードアップ。
スムーズに制作は進みました。
偶然、弊社工場の見学に訪れた小学生達には、先生と弊社の取り組みを紹介することができました。
「カルピスのマークをデザインした先生だよ」と説明すると、歓声があがっていました。
何とかその日の作業の終わりもみえてきたところで昼食へ。
連日になってしまいましたが、前日とは別のお店で鶏ゴボウ蕎麦。こちらも量が多く、驚かれていました…
昼食後、制作に入る前に、弊社の成り立ちがまとめられた「新田の森記念館」を弊社社長の新田がご案内しました。特に旧帝国ホテル(フランク・ロイド・ライト設計)のドアには非常にご興味をお持ちいただけました。
午後、再び制作をしていただき、何とか予定通り終了。
最後には、先生に握手をしていただき、何とも言えず感動してしまいました。
制作予備日としていた翌3日目は、弊社近くの十勝川温泉でゆっくり休まれ、元気に帰宅されたと伺いました。
今後も厳重な梱包や、熊沢印刷工芸への配送、札幌芸術の森美術館への搬入設置など、まだまだ作品の公開まで気を抜けませんが、貴重な時間を噛みしめながら協力をさせていただきたいと思います。
文:淡路雄大 写真:辻博希(特記なきもの)