BLOG: Work in progress

2018年8月8日

建築家の横河健さんが設計された地下鉄大江戸線大門駅には「波のリズム」という壁面レリーフ彫刻が設置されています。
五十嵐の初めてのテラコッタ作品です。

1999年当時、地下鉄の駅構内にアートをというコンペに参加した五十嵐は、ロサンゼルスのアトリエで木を使ってマケットを作り、プレゼンテーションしました。

これが選ばれ実現することになるのですが、地下鉄構内はアートも不燃材でなければいけないとのこと。
だったら陶で作ってみては?と横河さんから紹介いただいたのが大塚オーミ陶業さん。
これが運命の出会いで、現在まで、大塚オーミ陶業さんとのご縁は長く続いています。

そんな記念すべき作品となった「波のリズム」のマケットをぜひ展示したい!と学芸員さんから要望があり、長年所蔵してくださっていた横河さんより、展覧会用にお借りしてきました。

横河さんのアトリエは広々とした緑豊かな公園に面した気持ちのよい空間。
1階のレストランも居心地がよさそうです。

「波のリズム」のマケットは、ギャラリースペースの建築コーナーで、なんと、ジオ・ポンティー氏の直筆スケッチと、吉村順三氏のストックホルム市庁舎のスケッチ、そして黒川紀章氏の直筆メッセージなどとともに大切に展示してくださっていました。感動です。

制作から19年を経たマケットは、木の色が落ち着き、味わいが増し、魅力は倍増していました。
私は一足先に、太陽光の元じっくり眺めさせてもらいました。

このマケットはテラコッタ作品に生まれ変わりましたが、木の魅力に気付いてくださったアートコーディネーターに声をかけていただき、東京外国語大学に「言葉の海」という木のHorizontal Feeling(水平な気分)シリーズ第1号が設置されることになりました。

今もまだ、その流れはつながっています。

文・写真:羽田麻子